プラスチック成形技能士とは？

プラスチック成形技能士とは、国家資格の技能検定制度の1つで、プラスチックの成形技能の資格を持つもののことを指します。この資格には、特級、1級、2級、3級の合計4種類があり

特級　⇒プラスチック成形において管理、監督の技能を有する者

1級　⇒上級技能を有する者

2級　⇒中級技能を有する者

3級　⇒初級技能を有する者

と位置づけられております。

プラスチック成形技能士の資格を取得するためには、実技試験による技能検定と学科試験の両方に合格しなければなりません。

階級別に見る成形技術力とは？

前述の通り、プラスチック成形技能士は4つの階級別に分かれており、当然ながらそれぞれの位置づけは異なります。加えて、階級ごとに試験の難易度が異なるため、それぞれが持つ技術力も異なります。例えば、特級であれば工程管理、作業管理、安全衛生管理および環境の保全などの学科試験と、計画立案等作業試験などの実技試験が行われます。1級と2級であれば、プラスチック成形法一般を始めとする計5つの学科試験の他に、圧縮成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形の計4つの選択科目の中から1つを選択し、学科試験と実技試験を受ける必要があります。3級は、プラスチック成形法一般、電気、安全衛生、射出成形法の計4つの学科試験と、射出成形作業のうち、一部の実技試験を受ける必要があります。

そのため、圧縮成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形のそれぞれの技術を2級以上の資格で取得することができます

実技試験で行われる4つの成形方法について

それでは、実技試験で行われる圧縮成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形とはどのような作業なのでしょうか？

それぞれについて説明します。

圧縮成形

圧縮成形とは、熱硬化性樹脂を金型内に入れ、熱して柔らかくした後、金型を閉じ圧力をかけることにより成形する方法です。圧縮成形は射出成形と比較されることが多く、その主な違いとしては、

圧縮成形は熱硬化性樹脂に用いられ、

射出成形は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂両方に用いられる

ということが挙げられます。

射出成形

射出成形とは、溶融樹脂（熱し溶かされた樹脂）を金型内に流し込み、冷やし固めることにより成形を行う方法のことを指します。射出成形は様々な製品を作る際に使用され、身近なものであれば、パソコンのキーボードや車のバンパー、プラスチック食器などが射出成形により製作されています。射出成形を行うためには金型が必要となり、金型を製作した後は、１つの成形を行う際の時間のサイクルは短く、また1回の成形で複数工程を行うことも可能です。そのため、量産性に優れた加工方法であると言えます。

インフレーション成形

インフレーション成形とは、袋状のプラスチックフィルム製品を成形する際に、主に用いられる成形方法です。押出成形の一種であり、別名インフレーション法とも呼ばれます。成形を行う際には、「ダイ」と呼ばれるリング状の部品から溶融樹脂を薄いフィルム状に押出し、その内部に冷却された空気を吹き込むことで、袋状に膨張させることにより成形が行われます。インフレーション成形は、食品用のラップやポリ袋を製作する際に用いられています。

ブロー成形

ブロー成形とは、溶融樹脂を円筒状（パリソン）に押出し、金型内に挟んだ後、円筒内に空気を吹き込むことで、成形を行う方法のことを指します。その加工形状から中空成形、吹込成形とも呼ばれ、ペットボトルや食用油用容器、マヨネーズ用容器などの容器状の製品に主に用いられます。

上記4つ以外の成形方法：圧空成形

これらの加工方法の他にも、圧空成形という、薄い板状の熱可塑性樹脂を軟化させ、金型と樹脂の間を真空にし、成形する圧空成形の様な成形方法があります。圧空成形の特徴として、高圧力で金型に熱可塑性樹脂シートを密着させることによる、鋭く薄い形状に材料を加工できるというものがあります。また、樹脂シートを金型に吸い付ける成形方法である真空成型よりも、鋭く薄い形状の加工に優れています。圧空成形は3級の試験には出ませんが、基本的に1級と2級の試験に出ます。

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