私たちの日常の様々なものに使われているプラスチック。その種類は多岐に渡りますが、大きく2つに分類することが可能です。また、その種類によって成形方法も異なります。今回はプラスチックの種類と成形方法の関係性について徹底解説します!
前述の通り、プラスチックの種類は多岐に渡ります。例えば、近年の環境問題に配慮するために開発された生分解性プラスチックや、耐熱性等に優れているため機械部品などに用いられるエンジニアリングプラスチックなどが存在します。私たちの生活に身近なものであれば、コンビニ等で受け取ることができるプラスチックスプーンは、主にポリスチレンというもので製造されています。このように様々な種類のプラスチックが存在しますが、これらは熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックの大きく2つに分類することが可能です。
それぞれについて解説します。
樹脂・プラスチックは常温では硬く、熱を加えると柔らかくなります。またこれを冷やすとそのままの形状で硬化しますが更にもう一度加熱すると再度元の状態に戻ります。このように、温めたり冷やしたりすることで形を変えられる樹脂を「熱可塑性プラスチック」といいます。
主に射出成形に用いられ、溶かした後に金型に入れて固めることにより、様々な形に柔軟に加工することが可能となっております。熱を加えると軟化し、冷却すると固化する性質は再利用に優れた性質でもあるため、リサイクル可能な樹脂製品に用いられることが多く、加えて大量生産に適した材質でもあります。
熱硬化性プラスチック(熱硬化性樹脂)とは、その名の通り熱を加えると硬化するプラスチックのことを指します。熱硬化性プラスチックは主に圧縮成形に用いられる素材です。
このようにプラスチックは熱を加えると柔らかくなるか、それとも硬くなるかで分類することが可能です。熱可塑性プラスチックはチョコレート、熱硬化性プラスチックはビスケットを想像していただければイメージしやすいかと思われます。
どちらの方が優れているということは無く、製作したい製品の形状、性質、数量によって使用するプラスチックの種類を決定することが重要となります。
熱可塑性プラスチックの成形方法には、
・射出成形
・押出成形
・ブロー成型
・真空成形
・圧空成形
の5つの成形方法が用いられます。それぞれ解説します。
射出成形とは、溶融樹脂(熱し溶かされた樹脂)を金型内に流し込み、冷やし固めることにより成形を行う方法のことを指します。射出成形は様々な製品を作る際に使用されています。身近なもので言えば、パソコンのキーボードや車のバンパー、プラスチック食器などが射出成形により製作されています。射出成形は、1つの成形を行う際の時間のサイクルは比較的短く、また1回の成形で複数の工程を行うことも可能であるため、量産性に優れた加工方法であると言えます。しかし、反りやバリ、ヒケなどといった様々な加工トラブルや樹脂素材ごとの特徴などをコントロールして加工を行わなければならないといった難点もあります。
押出成形とは、溶融樹脂を金型から押し出し、空気や水で冷却し、連続的に樹脂を成形する方法です。他の樹脂成型と異なり、金型の内部で樹脂を冷却し固化させず、加熱シリンダーで樹脂を加熱し、金型の押出口から樹脂を通過させることにより、一定形状の成形を行います。押出成形で主に成形される製品としては、チューブやパイプなどの筒状のものや、包装用フィルムやスマートフォンなどの液晶保護フィルムなどが挙げられます。複雑な形状の成形を行うことには適していませんが、棒状、筒状、シート状などの簡易的な形状の成形を行うことに適しています。また、これらの形状の成形品を連続的に安定して行うことにも適しています。
ブロー成形とは、溶融樹脂に内側から空気を送り込み、膨らませることにより樹脂を成形する方法です。中空成形、または吹込み成形と呼ばれることもあります。主にペットボトル等の容器を成形する際に用いられることが多く、内部が空洞になっている製品に適した成形方法となっています。
真空成形(バキュームフォーム 英訳:vacuum forming)とは、薄い板状の熱可塑性樹脂に熱を加えて軟化させ、金型に密着させ樹脂と金型の間を真空状態にして樹脂を金型に吸いつけることで成形を行うことを指します。真空成形は金型の雄型を使う場合と雌型を使う場合の2種類に分類され、それぞれドレープフォーミング(雄型成形)、ストレートフォーミング(雌型成形)と呼びます。真空成形は射出成形と比較して、「金型製作費用が安価」、「製作期間が短い」などのメリットがありますが、成形品1つあたりの費用においては射出成形の方が安価に製作できるため、量産性の面では射出成形に軍配が上がります。
圧空成形は、シート状の樹脂を成形する方法の1つです。具体的な工程としては、下記の通りです。
熱可塑性樹脂シートをヒーターなどの熱で軟化させます。
次に熱可塑性樹脂シート下側にある金型と上側にある圧空ボックスでシートを挟み込みます。
その後、上側の圧空ボックスから空気を送り込み、熱可塑性樹脂シートを圧力で成形します。
最後に、圧空ボックスから冷風を送り込み、熱可塑性樹脂シートを固めることにより、成形が完了します。
圧空成形の特徴としては、高圧力で金型に熱可塑性樹脂シートを密着させることによる、鋭く薄い形状に材料を加工できるというものが挙げられます。
熱硬化性プラスチックの成形は、主に圧縮成形にて行われます。下記より圧縮成形について解説します。
圧縮成形とは、熱硬化性樹脂を加熱された金型内に入れた後、金型を閉じ圧力をかけることにより成形する方法です。圧縮成形は複雑形状の成形には不向きではありますが、金型の構造はシンプルなものなので、比較的安価に金型製作を行うことが可能です。
プラスチック成形ソリューションNaviを運営する東商化学は、使い捨てプラスチックカトラリーの国内トップシェアメーカーとして培ってきたノウハウを生かし、多様な業界の皆様に選ばれています。24時間稼働で日産850万個の生産を実現する完全自動化ラインとFSSC22000に準拠した徹底した安全・衛生管理を武器に金型設計・製造〜射出成形、組立まで一貫対応しています。近年のバイオマスプラスチックや生分解性プラスチックを活用した射出成型品の開発も行っていますので、新製品開発の委託先をお探しの皆様、お気軽に当社に御相談ください。
プラスチック成形 ソリューションNaviを運営する東商化学株式会社は、食品・医療・化粧品・理化学用プラスチックにおける課題解決により、皆様に選ばれ続けてきました。当社が培ってきた成形技術とノウハウを用いたソリューション提供により皆様の困難なお悩みを解決いたします。