用語集

か行

回転成形

回転成形とは、金型内に樹脂ペレットを入れ、金型を熱しながら360度回転させ、遠心力により成形を行う樹脂成型方法です。具体的な工程としては、金型内に熱可塑性のある樹脂ペレット(樹脂粉末材料)を入れ、金型の型締めを行い、熱風やガスバーナーなどで加熱し、360度回転により金型内部に均一に樹脂を付着させ、回転させたまま自然放熱で冷却し、その後取り出します。回転成形は金型に機械的圧力を加えないため、比較的に安価に作成できるというメリットの他、樹脂ペレットの量を調整することにより、容易に製品の肉厚を変更できるというメリットがあります。しかし、大容量のタンクを始めとした大型製品の成形が主となるため、金型の製作費が高くなってしまうというデメリットもあります。

ガイドピン

射出成形におけるガイドピンとは、金型を開閉する際に可動側と固定側の位置調整を行うために用いられる棒状の部品のことを指します。このガイドピンが無ければ、可動側と固定側がズレてしまい、「金型の隙間が空いてしまい樹脂が漏れ出してしまう」、「成形不良が起きてしまう」などのトラブルが起きてしまうため、射出成形金型を成形する際に重要な部品の1つであると言えます。ガイドピンの種類は複数に渡り、金型の種類によって用いられるガイドピンの数や種類は異なります。例えば、メインガイドピンの他に、エジェクターガイド、ボールガイドなど複数種類のガイドピンが用いられている場合があります。

可塑化

"可塑化とは、樹脂を加熱し溶かすことを指します。射出成形における樹脂を可塑化させる主な方法としては、射出成形機の内臓されているスクリューシリンダー内に樹脂(樹脂ペレット)を入れ、スクリューシリンダーの高速回転による樹脂同士の摩擦熱(せん断発熱)と、ヒーターによる加熱により、可塑化を行います。
可塑化に似た言葉として可塑性というものがありますが、これは物体に力を加えた際に、元の形に戻りにくくなる性質のことを指します。可塑性を向上させるためには、可塑剤というものが用いられます。可塑剤は、塩化ビニールを始めとする材料に柔軟性を加えることができ、主に酸とアルコールの化合物であるエステルが用いられます。"

可塑化能力

可塑化能力とは、射出成型機または可塑化装置が単位時間当たりに溶融、可塑化可能な成形材料の質量を指します。可塑化能力の単位は、kg/hで表します。可塑化能力の不足は、成形品を量産する際に、成型の工程が可塑化の工程を待つ時間が発生してしまい、成型サイクルの低下および生産性の低下を引き起こしてしまいます。可塑化能力は射出成型機または可塑化装置を準備する際に、重要な要素のうちの1つで、成形品に合った最適な可塑化能力を有した機械を選ぶ必要があります。

型締め装置

型締め装置とは、閉じた金型の締め付けと、金型の開閉を行う装置のことを指します。金型内に加熱して溶かした樹脂(溶融樹脂)を入れ、金型を閉じるだけでは、金型内に入った溶融樹脂の充填圧力や保圧などによって、金型が開いてしまいます。これを防ぐためにも、型締め装置により、金型の開閉のみならず、閉じた金型の締め付けを行います。型締め装置による型締めの方法は直圧式とトグル式の2種類に分けられます。直圧式は、油圧シリンダーにより可動側のプラテンを動かし、金型を広い面積で一定の圧力をかけて締め付ける方法です。トグル式は、トグルリンク機構によるタイバーの伸縮時の圧力を用いる方法です。

型閉速度

射出成形機における型開速度とは、金型が開く速度のことを指します。この型開速度を設定する際は、成形品がキャビティから取り外される際に、離型状態の変動、成形不良、傷が発生しないように、開き始めの型開速度は少し落とす必要があります。型開速度と似たものとして、型閉速度というものがあります。これは、金型が閉じる速度のことを指します。型閉速度が速すぎると、金型可動側が固定側へ激しく衝突してしまうため、速度を設定する際は金型が閉じきる手前でブレーキをかける必要があります。
型開速度と型閉速度は早ければ早いほど、成形サイクルの短縮に繋がりますが、前述の注意点を考慮した上で速度を設定しなければなりません。

型締力

射出成形における型締力とは、金型を締め付ける力のことを指します。射出成形を行う際は、射出成形機に金型を取り付け、ノズルから溶融樹脂(熱し溶かされた樹脂)を金型に注入します。その際に、金型内に樹脂が入り込んだことによる、充填圧力というものが発生します。圧力が高すぎると、金型は開いてしまい、バリなどの成形不良を引き起こしかねないため、金型を閉じるために型締めが必要となります。型締力は主にN(ニュートン)、kgf、tfで表され、必要な型締力を計算する際には、キャビティ内圧力や投影面積などを考慮する必要があります。
一般的な計算式は下記の通りです。
型締力(tf)=キャビティ内圧力(kgf/cm²)×投影面積の合計(cm²)/1000

型閉速度

射出成形機における型閉速度とは、金型が閉じる速度のことを指します。型閉速度が速すぎると、金型可動側が固定側へ激しく衝突してしまうため、速度を設定する際は金型が閉じきる手前でブレーキをかける必要があります。
型閉速度と似たものとして、型開速度というものが存在します。これは金型が開く速度のことを指します。この型開速度を設定する際は、成形品がキャビティから取り外される際に、離型状態の変動、成形不良、傷が発生しないように、開き始めの型開速度は少し落とす必要があります。
型閉速度と型開速度は早ければ早いほど、成形サイクルの短縮に繋がりますが、前述の注意点を考慮した上で速度を設定しなければなりません。

可動盤

射出成形における可動盤とは、射出成形機に使用される金型の型締機構の、開閉の動きを行うダイプレートのことを指します。対照的に、開閉の動きを行わないダイプレートのことはこ固定盤と呼ばれます。この可動盤と固定盤の間に金型を取付け、可動盤を動かして金型を閉じ、射出成形機から熱し溶かされた樹脂(溶融樹脂)を流し込み、溶融樹脂を冷却させることにより、射出成形は行われます。
可動盤と固定盤は様々な部品により構成されます。例えば可動盤であれば、金型本体の主要部分である可動側主板(可動側型板)、可動側主板やスペーサプレートと一緒に成形機に取り付ける可動側取付板。固定盤であれば、可動盤と同様に金型本体の主要部分である固定側主板(固定側型板)、成形機に固定盤をセットするための固定側取付板などの部品で構成されています。

金型

射出成型における金型とは、成型を行う際に加熱して溶かした樹脂(溶融樹脂)を流し込む入れ物(型)のことを指します。一般的な射出成形における金型は凸部と凹部の2つに分かれています。凸部はコアとも呼ばれ、凹部はキャビティーとも呼ばれます。金型には貫通した穴が開いており、その穴から射出成形機のノズルが差し込まれ、溶融樹脂が流し込まれます。流し込まれた溶融樹脂をコアとキャビティで挟み込み、冷却することにより成形を行います。このような一般的な金型の他にも、型を開くだけでは取り出せないアンダーカット形状用の金型、圧縮成形用の金型など、様々な金型があります。

逆流防止弁(チェックリング)

射出成形における逆流防止弁とは、その名の通り樹脂の逆流を防ぐための弁であり、これを閉じることにより、樹脂を一方向にのみ流すことが可能となります。逆流防止弁は射出成形機のスクリューの前方部分に取り付けられています。逆流防止弁を使用する際は、摩耗や腐食に注意する必要があります。摩耗や腐食により、樹脂を射出した際にシリンダー内の樹脂がホッパー方向へ逆流し、クッション量が安定しないを維持できないことで、射出重量がばらつくといった問題が起こります。成形不良や機械の故障などにも繋がりかねないため、逆流防止弁の点検や取り換えは定期的に行う必要があります。

吸水

射出成形における吸水(きゅうすい)とは、樹脂が水分を含む現象のことを指します。樹脂ごとにどれほど吸水するかは異なり、吸水率という数値でそれぞれ表されます。吸水率が高いと成形時に、「所定の性能を発揮できない」、「寸法公差を実現できない」、「材質が変化してしまう」などのトラブルが発生してしまうため、成形前にしっかりと樹脂を乾燥させることが、射出成形において必要とされます。吸水性が高い素材としては、ポリアミド(PA)・アクリロニトリルブタジェンスチレン(ABS)などが挙げられ、対照的に吸水性が低い素材としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などが挙げられます。

銀条

射出成形における銀条とは、成形品の表面上に筋が発生してしまう成形不良のことを指します。その銀色の筋の見た目からシルバーストリーク(silver-streak・銀条)と呼ばれ、成形品が製品の外観の一部である場合は、外観不良として廃棄されることが殆どです。銀条が発生する原因としては、溶融樹脂(熱し溶かされた樹脂)の中に水分、または空気や揮発ガスが含まれ、それらが成形品の表面に現れてしまうことが原因です。対策としては、樹脂の予備乾燥条件の確認と変更、射出圧力や速度の調整、金型のゲートサイズの拡大などが挙げられます。

クッション量

射出成形におけるクッション量とは、安定した成形を行い続けるために、射出工程で保圧をかけ、スクリューの先端に溶融樹脂(熱し溶かされた樹脂)を残し、圧力を.伝達させる樹脂の量のことを指します。射出成形において、毎ショット全ての量の樹脂が必ず射出されるというわけではないので、このような予備の樹脂が必要となります。シリンダーの内部に溶融樹脂が残留すた状態になっているため、クッション量が多すぎれば樹脂が滞留してしまい、熱による劣化に繋がってしまうことがあります。逆にクッション量が少なすぎれば、保圧の作用が薄くなってしまいます。

クラック(クラッキング)

クラック(クラッキング)とは、成形品上に欠けや細いヒビ割れが発生する成形不良のことを指します。クラックの中でも、毛髪状の細いヒビ割れのことはクレージングと呼び、温度や湿度などの環境の変化及び時間の経過による割れをストレスクラッキングと呼びます。クラックは成形品の脆弱性を高めてしまったり、他部品との組み合わせが悪くなってしまうなどの大きな悪影響を及ぼしかねません。クラックが発生してしまう原因としては、成形品を金型から外す際に過剰な力を与えてしまう、パッキング圧力の過多、材料(溶融樹脂)の供給過多、金型温度の過剰な低さ、離型材に含まれる溶剤による影響などが挙げられます。これらの過剰部分や材料を最適化することにより、クラックを抑制できます。また、成形品の内部応力によるクラックの発生は、溶融樹脂の射出速度や射出圧力の抑制、金型の型締め力の最適化により、クラックを抑制することが可能です。

クローズドループ

射出成形におけるクローズドループ制御(closed-roop)とは、成形パラメータをセンサーなどで感知と確認を行い、コンピューター内に成形パラメータのデータを転送し、設定値と比較・補正を行う機能のことを指します。クローズドループ制御とは対照的にオープンループ制御(open-roop)というものも存在します。オープンループ制御(open-roop)は、成形パラメータ(圧力、速度など各種数値)を確認する機能を持たない制御方式です。オープンループ制御とクローズドループ制御を比較すると、性能面ではクローズドループ制御が勝っていますが、クローズドループ制御は価格が高価という欠点があります。

ゲート

射出成型におけるゲートとは、金型内のランナー部分と成形品部分の中間部分のことを指します。熱し溶かされた樹脂(溶融樹脂)が金型内に流し込まれ、成型された後、ゲートをカットすることにより、成形品の余分な樹脂が取り除かれ、成形品が完成します。ゲートには様々な形状があります。また、その中にはランナーを省いた形状のゲートもあります。例えば、ダイレクトゲートは、ランナーを省いた形状の1つです。金型内の成形品部分に直接的にゲートをつなぐ方法です。メリットとしては、箱状などの断面の形状を成形する際のバランスがとりやすく、ランナーを省くことによる樹脂の節約などが挙げられます。デメリットとしては、ゲートをカットした際に成形品に大きな跡が残ってしまうことや、ゲートと成形品の接続部分にゆがみが発生してしまいやすいということです。ダイレクトゲートの他にも、製品の側面にゲートを取り付けるサイドゲート、成形品の上面または下面にゲートを取り付けるジャンプゲート(オーバーラップゲート)、金型の動作によりゲートが自動的にカットされるトンネルゲートやピンゲートなどがあります。どのゲートにもメリットとデメリットがあるため、最適なゲートを選定することが射出成型において重要となります。

計量

射出成形における計量とは、金型内に投入する樹脂材料の量を調整する作業のことを指します。成形品の重量などの他に、シリンダーの温度やスクリューの回転速度から適切な樹脂材料の計量値を決める必要があります。射出成形機に投入した樹脂材料の量が不安定であれば、加工品の精度にも影響を与えかねないため、安定した精度の計量をすることが射出成形において重要となります。計量が不安定になる要因の一つとして、樹脂を可塑化させる際に発生するガスやエアーによるものがあります。これはスクリュー背圧をかけることにより対策が可能となりますが、スクリュー背圧を掛けすぎてしまうと、却って可塑化の妨げになってしまう恐れがあるため、材質や形状に合わせた調整が必要となります。

コールドスラグ

射出成形におけるコールドスラッグ(コールドスラグ)とは成形不良の1種で、ノズルを金型に差し込んで密着させた際に、ノズルの熱を金型に奪われてしまうことが主な原因として挙げられます。金型に熱を奪われた後、ノズル内に存在する樹脂の一部が固化してしまうことでコールドスラッグは発生します。対策としては、「金型に材料溜まり(コールドスラグウェル)を設計する」、「ノズルが金型に接触する時間(ノズルタッチ)を短くする」、「金型の温度を高く設定する」などが挙げられます。コールドスラッグを抑制しなければ外観不良やゲート詰まりに繋がってしまうため、前述のような対策が必須となります。

コア

射出成形におけるコアとは、2つに分かれている金型の凹凸部分のことを指します。また、金型の凹部分のことはキャビティと呼びます。金型にある貫通した穴に射出成形機のノズルを差し込み、熱し溶かされた樹脂(溶融樹脂)を流し込むことにより、キャビティとコアの間に溶融樹脂が充填されます。金型を閉じ溶融樹脂が充填された後、温度を下げることにより、成型が完了します。一般的に、キャビティには傾斜がついているため、固められた樹脂がキャビティから離れやすくなっています。そのため、成型が完了した後は、コア部分に成形品が張り付くように設計されます。また、その性質から射出成形において、キャビティが固定側、コアが可動側として設計されます。ることが多いです。

固化層

射出成形における固化層とは、熱し溶かされた樹脂(溶融樹脂)が金型内に流し込まれた際に、溶融樹脂が金型に触れて冷やされることにより、固まってしまう樹脂の層のことを指します。実際には、完全に固化してしまうことは少なく、粘度が高い非流動層となります。固化層とは対照的に、流動層というものも存在します。これは、金型に直接触れず、固化していない状態で金型内に流れる樹脂のことを指します。流動層の先端部分は、噴水のように流れるので、この流れ方を「ファウンテンフロー」と呼びます。

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